2024年度PARC自由学校では「フィアレス・シティへの道――地域主権と公共の再生をめざして」と題したオンライン連続講座を開催します。開講に先立ち、4月以降国会で審議が進んでいる「地方自治法改正案」の問題点について、地方自治の専門家の久保木匡介さんをお招きして、緊急のオンライン・プレ企画を開催します。
地方自治法は、日本国憲法の規定(第8章「地方自治」)に基づいて、地方住民の政治参加の権利を保障し、地方自治体の自主性・自立性を強化することを図るために制定されました。また2000年の地方分権一括法施行を境に、国と自治体の関係は、「上下・主従」から「対等・協力」だと明示されました。
ところが、岸田内閣は2024年3月1日、地方自治法一部改正案を閣議決定、国会に提出。5月から国会審議が始まり、5月30日の衆議院本会議で可決され、参議院に送られました。改正案は、感染症のまん延や大規模な災害など国民の安全に重大な影響を及ぼす事態が発生した場合に、個別の法律に規定がなくても、国が自治体に必要な指示ができるとした「特例」を盛り込んでいます。これに対し、自治体側や専門家からは「指示権の創設は、地方分権改革に逆行する」「『想定外』の事態というあいまいな定義では、時の内閣の恣意的な判断がなされる」などの指摘がされています。
立法事実も明確でないまま、多くの自治体の首長や議会、市民からの反対・懸念の声があがる中、拙速な審議が行われたことは大問題です。非常時に必要なのはむしろ自治体への権限の移譲や国と自治体の強力・連携関係であり、決して上意下達の指示ではありません。このままでは自治体が「国の言いなり、指示待ち」になる懸念もあります。
連続講座「フィアレス・シティへの道」では、地域主権と自治を各地で進めるための実践やアイデアを学んでいきますが、今回の地方自治法改正は、まさにこうした地域からのボトムアップの民主主義と逆行し、その芽を阻むものと言えるでしょう。
このプレ企画では、地方自治法改正の問題点への理解を深めつつ、国と地方のあるべき関係、「そもそも地方自治の理念と意義とは何?」などの基本的なことも学びます。またこの間、地方議員として全国に法改正STOP!のオンライン署名*を呼び掛け、政府に働きかけてきた京都市議の井崎敦子さんにもご発言いただきます。自治の可能性を皆さんで議論していきましょう。
*自治体の「国の下請け機関化」につながる #地方自治法改正案に反対します !署名アクションはこちら
●講師:久保木匡介(くぼき・きょうすけ)
長野大学環境ツーリズム学部教授。早稲田大学大学院政治学研究科博士後期課程修了。東洋大学非常勤講師、長野大学産業社会学部専任講師を経て、2015年より現職。専攻は行政学、地方自治論。
●著書:『徹底検証!東京都政 巨大再開発、DX・GXで東京のまち・自然が破壊される』(共編著、旬報社、2024年)/『現代イギリス教育改革と学校評価の研究 新自由主義国家における行政統制』(単著、花伝社、2019年)/『東京から問う地域主権改革』(共著、東京自治問題研究所、2012年)/『新自由主義教育改革 その理論・実態と対抗軸』(共著、大月書店、2009年)/『地方自治構造改革とニュー・パブリック・マネジメント』(共著、東京自治問題研究所、2004年)
●講座コーディネーター:内田聖子(うちだ・しょうこ)
NPO法人アジア太平洋資料センター(PARC)共同代表。NPO法人日本国際ボランティアセンター(JVC)理事。世界の貿易・投資、デジタル経済の課題について、政府や国際機関のウォッチと調査、政策提言、市民キャンペーンなどを国内外の市民社会組織と行う。2022年の杉並区長選挙では岸本聡子選対本部長を務めた。現在は岸本聡子の政務担当者としても活動。
●著書:『デジタル・デモクラシー ビッグ・テックを包囲するグローバル市民社会』(単著、地平社 2024年)/『日本の水道をどうする!? 民営化か公共の再生か』(編著、コモンズ、2019年)/『自由貿易は私たちを幸せにするのか?』(編著、コモンズ、2017年)
●地方議員からの発言:井崎敦子(京都市議)
■日時:
2024年6月14日(金) 19:00~20:30(予定)
■開催形式:オンライン(ZOOM)
※お申し込みいただいた皆様にZOOMのリンクをお伝えします
■参加費:無料
■申し込み:締切ました
※お申し込みいただいた皆様には開催前日17時までに参加リンクをお伝えします。
6月13日(木)17時以降のお申込みについては随時対応させていただきます。
※お申込みいただいた方ならびにPARC会員限定で、後日アーカイブ配信する予定です。ただし、レクチャー部分のみの限定公開となります。当日は登壇者の意見交換や質疑応答を行いますので、ぜひ開催時間にご参加ください。
■主催・お問い合わせ
特定非営利活動法人アジア太平洋資料センター(PARC) 担当:栗本
〒101-0063
東京都千代田区神田淡路町1-7-11 東洋ビル2F教室
TEL: 03-5209-3455/FAX: 03-5209-3453
メール:office@parc-jp.org