PARC
私たちが変わる。世界を変える。
アジア太平洋資料センター

内田聖子(PARC共同代表)

2023年9月、アジア太平洋資料センター(PARC)は設立から50年を迎えます。人間でいえば、生まれた赤ちゃんが50歳になるわけですから、どれほど多くの経験をしてきたのか、どれだけの選択と失敗、出会いと別れがあったのか。想像するだけで胸が熱くなります。

PARCの誕生した1973年から現在まで、世界と日本は大きく変化しました。戦後の高度成長期としての1970年代、経済のグローバリゼーションが進んだ1980年代、そして2000年以降には新自由主義政策が世界の隅々に行き渡りました。どの時代にも、PARCは「小さき民」の一員として、環境と人権を脅かす破壊的な開発や、一部の者だけが肥え太る不公正な経済システム、非民主的・独裁的な政治、そして人々の生命と希望を奪いつくす戦争・紛争に対して、批判と提言を行ってきました。そこでの基本的な姿勢は、私たちは問題を起こしている構造の一部であり、私たち自身が変わることなしに世界は変わらないというものです。私たちには特定の現場はありませんが、だからこそ国内外の多様な運動体やNGO、コミュニティ、研究者、ジャーナリスト、市民を結ぶ媒介としての矜持を持って活動をしてきました。

50年の道のりは決して平坦ではなく、それぞれの時代での困難や対立もありました。現在の理事会・理事会はその歴史を創設時の諸先輩方から聞き取りながら、新たなPARCの活動を展望しようとしています。PARCの50年を、一組織の歴史とだけ狭く切り取るのではなく、戦後から現在に至るまでの日本と世界の社会運動、市民活動の歴史の中に位置づけ、可能な限り普遍的で現代的な課題として、多くの方々と共有し、議論することが、私たちの願いです。

PARCに長く関わってくださった諸先輩の皆さん、ごく最近に参加くださった皆さん、国境を越えてつながる海外の友人の皆さん、そしてこれからPARCと出会うであろう未来の仲間たち、すべての方にPARC50周年事業への参加とご協力をいただけますよう、お願い申し上げます。特に、50年の蓄積としての各種資料、写真、データのアーカイブ化については、市民活動の記録を残し、継承するという社会的意義も大きなプロジェクトです。しかしながら一定の費用もかかることから、皆様からのご寄付がなければ実現いたしません。ぜひご支援をお願い申し上げます。

 

​中山智香子(東京外国語大学教授・PARC理事)

1960年代の市民運動のうねりを継承して1973年に生まれたPARCが、数々の激動にも屈さず地道に活動を続け、ついに半世紀に至ります。政党政治や組織的な利害に動員されるのではなく、肩書や性別、立場にもとらわれず、しかし人とのつながりを大切にしながら、ひとりの市民として暮らしや世界を見つめ、まっとうに生きられるよう声をあげていくことを、PARCは目指してきました。当方はまだ新参者の理事ですが、これからもさまざまな人びとが集い、混迷する世界を生き抜くための居場所となるよう、ともに引き継いでまいりましょう!

 

高木恒一(立教大学教授・PARC理事)

PARCの50年はグローバル化や新自由主義化といった大きな社会変動のなかで、市民活動が声を上げ、活動領域を広げ、国境を超えた連帯を形成してきた50年だったと言うことができるでしょう。地球規模の環境破壊、ウクライナをはじめ世界各地での戦争や紛争、新自由主義的政治・経済の跋扈など、世界はなお数多くの困難を抱えており、市民活動の重要性は増していくばかりです。この中で迎える50周年は積み重ねてきた経験を振り返るとともに、市民活動の未来を展望するための節目にしたいと思います。

 

小林孝信(PARC理事)

半世紀といえば、ちょっと前なら人の一生でやはり重みを感じます。70年代初め、勤務先の技術協力団体の「途上国」研修生にベトナム反戦や公害反対などの日本の市民運動を伝えようと英文資料を捜しました。その時に出会ったのが創立間もないPARC発行の『AMPO』で、時々事務所へ行くきっかけとなりました。80年代に自由学校がスタート、早速クラスに入りその後ほぼ毎年参加(3本同時のことも!)し、今も留年を続けております。講師や多様な参加者から学び、また鼓舞され今も多くの人とつながっています。PARCは長らく国内各地や海外との交流を積み重ねてきました。今後も次の50年に向けてグローカルに仲間を増やして活性化し、「じゃなかしゃば」(今のようでない、もうひとつの社会)を目指してゆきたいです。これまで同様、内外の多くの皆さんのご参加とご協力をよろしくお願いいたします。

 

八木亜紀子(開発教育協会・PARC理事)

高校生の時に読んだ『バナナと日本人』に『エビと日本人』。大学時代に「国際協力に関心がある」と言ったら、先生が貸してくれたビデオテープ『開発は人びとの手で』…。振り返ればPARCとPARCにつながる人々により、わたしが持っていた「先進工業国・日本」の姿や「国際協力観」は、いい意味でぶち壊され、再構築され続けてきました。そんな風に目を見開かれた人は、この50年間でどれほどになるでしょう。

自由学校に参加すること、動画作品を観ること、話し合う場をつくること、会員や寄付者になること―人びと(people)がつないで来たこの運動の長い列に加わる方法はたくさんあります。

※肩書きは2022年4月時点

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