テレビ放送の地上波完全デジタル化に向けて、2010年末までに購入されたデジタルテレビの数は、なんと6700万台。大量のアナログテレビが捨てられたことになります。
テレビやパソコンなどの電子ごみには、鉛や水銀などの有害物質が含まれているため、適切な処理が不可欠です。
捨てられた後、電子ごみはどこへ行くのか。私たちは、国内の中古家電輸出商社、アジアやアフリカの中古家電市場、日本や中国、フィリピンのリサイクル現場などを取材・撮影。その行く先を追いました。
ごみとして捨てられたものが中古家電として海外で広く利用されている現実や、まだ使えるものまで解体されている日本のリサイクル事情。より「安い」処理コストがもたらす利益を求めて、リサイクルのために海を渡った電子ごみが処理や廃棄の過程で引き起こしている健康被害や環境汚染の実情。そして、自らの健康が損なわれたとしても、危険なリサイクル作業に従事せざるをえない人びと――。
テクノロジーに依存する私たちの暮らしの裏側で、電子ごみは世界をめぐり、適切な処理がなされない現場では数々の問題も引き起こしていました。その責任は誰がとるべきなのか。どうしたら解決できるのか。地球規模に展開するごみビジネスの仕組みを探りながら考えます。