私たちの暮らしのなかにあふれるプラスチック。その生産量は増え続け、現在では毎年4億トンのプラスチックが世界で生産されています。
プラスチックの用途の代表が、ペットボトルやレジ袋などの容器包装です。この身近なプラスチックがいま、大きな環境問題となっています。石油から作られ、瞬時に使い捨てられるプラスチックが、自然環境中に流出し、半永久的に残り続けるごみとなっているのです。とりわけ深刻なのが海洋汚染。「マイクロプラスチック」と呼ばれる微小なプラスチックごみを通して、有害な化学物質が食物連鎖に入り込んでくることも問題視されています。
「日本では、ごみは分別収集され、資源はリサイクルされている」
そんなリサイクル先進国のイメージとは裏腹に、プラスチックごみへの対応は、日本でも切迫した課題となっています。取材から明らかとなるのは、焼却や輸出に依存してきた、循環とかけ離れた「日本のリサイクル」の実態です。責任をあいまいにした制度設計のために、私たちの利用するプラスチックが、環境汚染や地球温暖化の原因となり、いのちを脅かす負の遺産となっているのです。
リサイクルの幻想を超えて、使い捨てプラスチックごみを削減していくために、私たちに何が求められているのか。問題解決の道筋を探ります。