インターネットでの買い物や決済、SNSでのコミュニケーションが当たり前となった私たちの暮らし。新型コロナウイルスの感染拡大は、テレワークや遠隔授業の必要性を高め、IT技術の利用を一層加速させました。
そんな中、ウーバーイーツに代表されるフードデリバリー・サービスも拡大しています。「プラットフォーム企業」が運営するこの新たなビジネスでは、アプリ一つで飲食店と顧客、配達員をマッチングさせ、「誰でも、好きな時間に、自由に働ける」とされています。日本での配達員は約10万人と言われますが、配達員はウーバーと「アプリ使用」契約を交わすだけで、「個人事業主」として配達を請け負います。そのため、事故に遭っても会社負担の労災保険はなく、また配達依頼や報酬の基準、さらには飲食店や顧客からの「評価」の内容などを配達員は十分に知ることも、会社と協議することもできません。
欧州を中心とする海外ではこれら配達員の「労働者性」が裁判でも認められ、事故の際の社会保障や労働組合と企業の団体交渉などが認められるようになってきました。
日本でも、配達員たちがウーバーイーツユニオンを結成し、会社側へ報酬や評価に関する情報の透明性や、団体交渉を求める動きが始まっています。作品では、ウーバーイーツの配達員やユニオンの取材を通して、「自由な働き方」がはらむ問題点を提起します。