2011年3月11日に発生した東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所の事故。あれから10年、「復興」が語られる一方で、いまだに多くの人びとが収束の見えない原子力災害のもとでの暮らしを余儀なくされています。
事故によってまき散らされた放射性物質は、人びとが長年続けてきた生業を一瞬にして破壊しました。出荷制限が解除されても、農作物の価格は戻らず、農家はいまも葛藤を続けています。放射性物質による汚染は、人びとの故郷と暮らしも奪いました。国は、避難への支援を求める人びとの声を無視して、除染に費用を投じていますが、それは住民に高い放射線量のもとでの生活を強いる政策となっています。国が避難指示の被ばく量の基準を年間20ミリシーベルトという高い数値に設定したため、避難・帰還をめぐって人びとは選択に苦しみ、地域は分断されることになったのです。事故を起こした原発の廃炉の見通しは遠く、増え続ける汚染水をめぐる国と東電の対応に、漁業者は不安と怒りを表明しています。
事故とその後の政策によって振りまわされてきた人びとの声に耳を傾けて、本当の意味での「復興」とは何かを問いかけます。
本作は、FoE Japanの「ふくしまミエルカプロジェクト」の事故被害者への取材を踏まえながら、新たにインタビュー撮影と編集を行い、43分の作品としてまとめたものです。FoE Japan のウェブサイトで公開されているインタビューもぜひあわせてご覧ください。