2011年3月11日、冷却水を喪失し、一気にメルトダウンと水素爆発にむかった 福島第一原発。
「電気事業連合会のパンフレットには『地震にも津波にも大丈夫』て書いてあるけど、うちら、だまされてたんとちゃうか?」
「なんでそんな危ないもんが日本中にあるねん!」
パンフレットを手に、八百屋の店先で悩み始めた由貴江と容子。
二人の疑問に、専門家や当事者がていねいに回答していく。
ピークを過ぎているウラン資源。ウラン鉱山で引き起こされている環境破壊や被ばく。輸送や燃料加工、再処理や廃棄物処分の過程で放出されるCO2。海に垂れ流される温排水、どんどん出る放射能を帯びたごみ。実現の見込みがまったくない高速増殖炉、ハイコスト・ハイリスク・ノーリターンの再処理計画、行き場も処理技術もない高レベル放射性廃棄物。最も高かった原発のコスト。事故がなくても放出されている放射能。被ばくを伴う労働がなければ発電できない事実。実はたくさん起きていた事故。本当は、原発がなくても足りる電気。
そして、福島第一原発災害は、多くの影響と被害をもたらしている。引き上げられる基準値、避難せざるを得ない人びと、農業など第一次産業への被害、脅かされる食と健康――。
一つひとつの事実を追い、原発の「ほんとうの姿」に迫る。
原発を「ちゃんと知り」、いま、未来を私たちで構想するための作品。