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参加者は草取りに取り組みました

PARCでは一昨年の50周年の際、世界・社会のこれからを考える上で福島を置き去りにしないことを立脚点にするために、福島合宿と記念の国際シンポジウム*を開催しました。そこでつちかわれた関係性を継続させていくためにも、福島県二本松市東和地区で有機農業を続けている菅野正寿さんの棚田の一部を、2025年度より「PARC田んぼ」としてお借りすることにしました。

菅野正寿さんの活動については、こちらをご参照ください。
●農家民宿「遊雲の里」
●菅野正寿・原田直樹 編著『農と土のある暮らしを次世代へ――原発事故からの農村の再生』コモンズ、2018

PARC会員や自由学校の受講生の皆さん、理事・事務局から有志を募って、二本松に通い、田んぼのお世話をしていく取り組みをしていきますが、6月の訪問に参加された理事の高木恒一さんに、当日の様子をレポートいただきましたので紹介します。(PARC事務局)

お借りしている「パルク田んぼ」で草取り作業について説明する菅野正寿さん

PARC田んぼツアー参加記

高木恒一(PARC理事/立教大学社会学部教授)

6月、PARCの呼びかけで実施された、PARC田んぼの会に参加しました。菅野さんとPARCとは、元共同代表の大江正章さん、現共同代表の大橋正明さんらが長らく関係を結んできました。この関係はPARCが足元の地域問題を考え、実践するための重要な拠点で、その重要性は福島第一原発事故後にはさらに大きなものになっています。

今回のツアーは草取りの前に菅野さんはじめ地域の方々が作られたビオトープでの生態系観察、夜には蛍の観察会が合わせて行われました。参加者はスタッフを含めて19名。田んぼ作業に通暁したベテランから初心者まで、バラエティーに富んだ参加者が集まりました。

初日午後に現地入りし、まずはビオトープでの生態系観察に参加。地域の方から環境を守るための取り組みについてお話を伺ってからビオトープに向かい、トンボや水生生物の姿に歓声をあげました。草取りで汗を流した後の蛍鑑賞会では、夕闇のなかでキラキラと光り乱舞する蛍の姿を堪能しました。宿泊は農家民宿2軒に分宿。どちらの宿でも深夜まで楽しい交流が続きました。

ぬのさわビオトープ。菅野さんは「原発事故のとき、子どもたちはマスクを強いられ思うように遊べなかった。また子どもが野良を駆け回れる地域にしたくてビオトープに取り組んでいる」と語られました

ビオトープの観察では、様々なトンボたちが飛び交う様子を見ることができました

きれいな水に住むというアカハライモリも!

田んぼでの草取りに体力的自信がない参加者は農家民宿でチマキづくり体験に参加しました。チマキを包むのに使われるのは近くに自生する笹の葉。農家は畑だけでなく地域の自然資源を活用して持続的な暮らしを営んできました。畑と住宅の除染だけでは暮らしが成り立たないという実態を象徴する料理の一つです。

正寿さんのお連れ合いの「まゆみ」さんに教わりながら、もち米を笹で包む

2日目はバスで浪江町の見学。放射線汚染が今なお続き、住民の多くが自宅解体を決断せざるを得なかった津島地区。当事者の三瓶春江さんからお話を伺い、改めて原発事故は不可逆的で重大なものであることを実感しました。その後「道の駅なみえ」を経て、津波の被災遺構の請戸小学校見学、さらに海岸の堤防から海を眺めるという旅程でした。

浪江町津島にあったご自宅について説明する三瓶さん。強制避難の間に朽ち果てていった自宅の解体費用申請について国が期限を切ったため、今年1月、やむなく解体されました。先祖から大切に守られ引き継いだ自宅を後世に引き継げなかった無念を語られました。

50周年の際にも訪問した堤防にて。天気が良ければ、福島第一原子力発電所を望むことができます

初日には、生き物たちが生育できる環境を維持することの重要さを実感し、2日目はこうした環境を根こそぎ破壊し、いまなお深刻な状況が続いている福島の現状を見ることができました。PARCらしい(?)いろいろなものをびっしりと詰め込んだツアーでしたが、楽しく濃密な時間となりました。

次は10月頃に稲刈りでの訪問を予定しています。

【ご参考】PARC設立50周年の際に実施した福島合宿と記念の国際シンポジウムの記録(一部)は以下からご覧いただけます

浪江町津島地区を訪問 原発事故から12年、避難指示一部解除の裏で

二本松市東和で聞いた「福島のいま」(2023年8月31日) ※録画公開

PARC50周年記念シンポジウム(2023年9月3日) ※録画公開

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