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2022年に行われた環太平洋合同演習(RIMPAC)の模様(US Navy Photo)

2024627日、世界最大の合同軍事演習「環太平洋合同演習(RIMPAC)」がハワイ沖で開始された。81日まで継続して実施される予定である。

元は1971年に米国、カナダ、オーストラリアの間で行われた軍事演習であるが、日本は1980年の第七回合同演習から欠かさず参加している。そして今年は29カ国が参加し約25000名の防衛人員が参加する最大規模になっている。ただ近年の緊張関係を象徴するかのように中国、ロシアに関しては過去に招待されたことがあったにもかかわらず、今年は招待されず不参加となっている。

この軍事演習は海洋環境に負荷をかけるだけでなく、多くの太平洋の先住民族にとって聖地ともいえる海で壮大な「戦争ごっこ」をするものとして長年批判されてきた。

しかし、近年では「戦争ごっこ」とは揶揄しきれない深刻な側面も見えている。前回の軍事演習では日本が「存立危機事態」を認定し、武力行使に踏み切るシナリオが想定されていたが、中国やロシアは参加していない。訓練の仮想敵国として何を想定しているのかは想像に難くない。

さらに問題とされているのは、2018年に一度参加して以来不参加となっていたイスラエル海軍が今年は参加している点である。言わずもがな、昨年10月のハマスによる攻撃に対する報復攻撃という名目で始められたイスラエル軍によるパレスチナ侵攻はすでにジェノサイドと称されて国際刑事裁判所(ICC)でも民間人への虐殺行為が問題にされている。そのイスラエル軍と一体何の軍事演習をする必要があるのか?

そして、インドネシア軍は西パプアで虐殺と弾圧を繰り返しており、フランスは姑息な法的手段でカナキー(ニュー・カレドニア)の独立を阻んでいる。こうした軍隊と軍事演習を行うときに想定されているものは一体何なのか?これらの国々に共通する「敵」は誰か?

 民衆運動から見たとき、「環太平洋合同軍事演習」は島々の人びとに対する直接的威圧行為であり、弾圧者が手を取り合う場であり、そして太平洋地域の対立を深めるものである。市民が求める「自由で開かれた」太平洋地域は日本や米国がレトリックで用いるものとは大きく異なるのだ。

41団体と28名の有識者に賛同された「Protecting Oceania 2024」の声明(英文)は下記からご覧いただけます。

http:/files.parc-jp.org/docs/Protecting_Oceania_Cancel_RIMPAC_signatories.pdf  

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