11月29日に東京都目黒区のアマゾンジャパン合同会社本社前で配達員の労働環境の改善を求める要請行動が行われました。PARCも協力団体としている国際キャンペーン「Make Amazon Pay」の一環です。
毎年、世界的なセールイベント「ブラックフライデー」の時期にあわせて、Amazon社に対し世界各地で労働条件の改善や気候危機対策、地域経済への配慮などを訴えるアクションが実施されています。今年は世界30カ国、200カ所以上で同時アクションが行なわれました。日本での行動には、労働環境の改善を求める配達員らの労働組合を中心に約60人が参加。アマゾンジャパン社に対し、配達員の労働環境を改善するためにも団体交渉に応じることなどを訴え、要請書を提出しました。
Amazonの配達員は、アマゾンジャパン社に直接雇用されておらず、一次下請け・二次下請けの配送会社と契約する「個人事業主」であるケースが多くあります。本来は裁量での労働が認められるべき契約ですが、実態は大きく異なります。アマゾン社が推奨する専用のアプリで配送ルートや荷量を管理され、1日200個以上の荷物を配送するため休憩もとれない状態で10~12時間も働くことが常態化しています。直接雇用されている「労働者」であれば、労働法によって保障されるはずの雇用保険や残業代などの権利が保障されない状況に置かれてしまっているのです。横須賀市・長崎市の配達員は2023年6月、アマゾン配達員労働組合を結成し、アマゾンジャパン社に対して団体交渉を申し入れてきましたが拒否され続けています。
こうした中で2023年9月、Amazonの配達中に負った怪我について労働基準監督署が労災認定を出しました。配達員の労働者性を認めた、画期的な判断です。多くの課題があるものの、配達員の状況の改善や世論の喚起につながりつつあります。
しかしAmazon側は未だに「配達員は従業員ではない」という姿勢を崩さず、現在も配達員との間で「労働者」としての地位確認と未払い賃金を巡る訴訟が続いています。
私たちが「便利さ」を享受する一方、その裏に過酷で不公正な労働があるのだとしたら、消費者・利用者も決して無関係ではありません。
PARCは世界各地の労働組合やNGOと連帯し引き続き声を上げていきます。
PARCの新作DVD「Amazon配達員―送料無料の裏で」では、配達員の労働問題に焦点を当てつつ、気候危機への対応など巨大IT企業に公正で倫理的なビジネスを求める国際的な運動を取り上げています。
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