PARCも参画する金融の社会性格付けサイトFair Finance Guide Japanでは第12回目となる国内金融機関のESG方針評価(2025年版)を公表しました。
日本の大手銀行6グループ中、今回首位となった銀行は前回と同様にみずほでしたが、100点満点中38点しか獲得していません。農林中央金庫が37点を獲得し2位。3位が35点を獲得した三菱UFJとなりました。三井住友は、大規模な開発プロジェクト向け融資における環境社会配慮基準であるエクエーター原則(赤道原則)から脱退したことで30点から29点に低下しています。
金融機関の各社は気候危機対策への取り組みとしてどのような電力セクターへの投融資をしているのか把握することで自身の気候変動への加担割合を数値化していますが、その電力セクター向け投融資ポートフォリオにおける温室効果ガス(GHG)排出量は、昨年に引き続きりそなが139gCO2e/kWhと他行と比較して最も削減目標に向けてリードしており、2030年までに目指すべきパリ協定の1.5度目標をほぼ達成しています。反対に、みずほのGHG排出量は353 gCO2e/kwh(2021年度)から368 gCO2e/kwh(2022年度)に増加し、三菱UFJのGHG排出量も299 gCO2e/kwh(2021年度)から313gCO2e/kwh(2022年度)に増加しており、両行は削減するどころかGHG排出量への加担を増していることが明らかになりました。特に三菱UFJは昨年まで毎年の排出量の推移を含めて表記していたが、今年は推移データが削除され、昨年からの増加が容易に分からないように表記されており、情報公開の方法にも問題があります。
また、みずほ、三菱UFJ、三井住友の3行はバイオマス発電事業へ投融資する際には、燃焼材の環境・社会配慮状況を確認する方針を新たに明記しました。特に三井住友は「未利用材・製材残渣含め原生林由来ではないこと、地域住民等の人権侵害を行っていないことが確認できる燃焼材が使用されることを確認」する方針を示しました。
鉱物採掘のフロンティアとして近年事業が進まれていながらも、海洋生態系や沿岸部住民へ深刻な影響を及ぼす深海採掘については、ドイツ銀行が2024年9月に深海採掘事業への投融資を禁止する方針を新たに発表しましたが、いずれの邦銀もそのような方針を示していません。
三井住友はエクエーター原則に再加盟するべきであり、みずほと三菱UFJは、電力セクター向け投融資ポートフォリオの2030年目標を達成するために、着実に排出量を減らすことが不可欠です。また各金融機関はバイオマス発電や深海採掘へのセクター方針を強化するべきだと言えます。