2024年4月23日、エクアドルの最高裁判所にあたる憲法裁判所は鉱山会社らによる控訴を否認し、鉱山計画再開を認めない判決を下した。
2023年3月にインバブラ高等裁判所はエクアドルの採掘公社であるENAMI社とチリの採掘公社であるCODELCOの二社のかかわる30億米ドル級の鉱山計画に対して、環境許可を取り消す判決を下した。エクアドルの憲法に記された「母なる自然の権利」に基づいて、絶滅危惧種の生存権を脅かす鉱山計画は認められないという歴史的判決であった。
この度の最高裁の控訴否認判断はそのインバブラ高裁の判決を支持するものである。そのため、鉱山会社らが再度環境許可を取得するにあたっては精密な現地調査や現地住民の承認を含んだ環境影響評価を一からやり直して、全く新しい開発許可申請をしなければならなくなる。しかも最高裁判所の判決なので、これで法的に行き止まりと言える。まさに完全に白紙に戻されたのだ。
鉱山開発には様々な利権と莫大な資金がかかわるため、世界では鉱山開発に反対する活動家は度々攻撃され、命を奪われたり、無実の罪で起訴・収監されたりすることも珍しくない。そんな危険な環境下でインタグ地方フニン村を守るための活動家らは30年以上鉱山開発と闘ってきた。鉱山に反対する村長(当時)のハビエル・ラミーレスさんはその場に居もしなかったのに、鉱山会社社員に暴力をふるった嫌疑をかけられて、裁判が開かれることなく10カ月間留置所で過ごした。環境影響評価のための現地調査が行われたときには、人口たかだか数百の村に対して、その倍以上の警察機動隊が住民を鎮圧した。それでも住民はめげず、闘いを続け、この度の勝利を得たのだ。
これまで二度完全勝利をおさめたが、その都度すぐに次の鉱山会社が開発を迫ってきた。そして今回、三度目の勝利を収めたわけだが、これで終わりであってほしいと切に願う。しかし、もし次の鉱山会社が迫ったとしても住民らは、抵抗を続け勝利することだろう。