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アジア太平洋資料センター

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アジア太平洋資料センター(PARC)と水産業における労働・人権問題改善に向けて協力関係にあるグローバル・レイバー・ジャスティス(GLJ)は「シーフード・ワーキング・グループ(SWG)」会員とともに、2025年2月10日、海洋管理協議会(MSC)に対して公開書簡を発表し、認証機関に対し、「MSC認証を受けた漁業者のもとで労働者が搾取されるような制度や構造、そして労働搾取のもとで生産された魚を認証するような状況は、MSCが責任を負わなければならない」とMSCの説明責任を求めた。

書簡の日本語版ダウンロード

書間は、グローバル・レイバー・ジャスティス(GLJ)、国際運輸労連(ITF)、ヒューマニティ・ユナイテッド、フリーダム・ファンド、グリーンピースUSを含むSWG会員団体が賛同署名し、危険な水産物産業における強制労働の横行を指摘している。

「漁業では、少なくとも12万8,000人の漁船員が強制労働にさらされているという、深刻な労働搾取が横行しています。また危険な労働環境のために、年間10万人以上の死亡が確認されています。多くの漁船員は、過酷な長時間労働、賃金支払いの遅延、身体的暴行、極度の孤独に直面しており、多くの場合、保護や救済措置はほとんどありません。このような憂慮すべき状況にもかかわらず、このような漁船から捕獲される水産物はヨーロッパやアメリカの市場に参入し続けています。水産セクターにおける漁業労働者が構造的な権利侵害に遭っている状況は容認できないものであり、早急に対処しなければなりません」(書簡より)

 移民漁船員が搾取されている問題については国際的にも関心が高まりつつあることや、MSC認証漁業における強制労働事件が報告されていることから、認証制度や構造が認証を受けた漁船での強制労働を看過しているとして、その責任を果たしていないと批判されている。MSCは、労働搾取しやすい条件下で生産された魚を認証している事実を認めるどころか、責任を回避しようとしている。 

SWGのメンバー組織はMSCに対し、透明性を確保し、MSCエコラベルが労働権の侵害を防ぐものではなく、また防ぐことができないことを、消費者を含むすべての利害関係者が理解できるようにすることを求めている。さらに、労働基準を考慮することなく、MSCエコラベルのみに依存して調達を決定することは、労働者の労働搾取を可能にし、企業が重大な風評リスクにさらされることを、MSCが企業に通知することを要求している。MSCは労働権の保護について十分な保証を提供していないため、この書簡は、MSCがラベルの限界を明確に認め、漁業者の労働権を効果的に保護する法的拘束力のある解決策を積極的かつ公に支持し、労働者が労働権侵害を監視、執行、是正するための集団的主体性を主張できるその他のメカニズムを推進するよう勧告している。

MSCのビジネスモデルは漁業に依拠しており、その収入の88.7%はMSCのロゴ入り製品のロイヤリティからである。強制労働を防止し是正するための意義ある、あるいは実行可能な取り組みがないまま、強制労働が確認されている場合でも、主要な漁業を認証制度に参加させ続けることで経済的利益を生む。漁船員のための確固たる労働基準を保証するよりも、企業が労働法違反を是正することなく認証を受けることができるため、エコラベルは単なる隠れ蓑でしかなく、企業コンプライアンスへのインセンティブにならない。

グローバル・レイバー・ジャスティス(GLJ
ディーセント・ワークを保護する政策と法律を推進し、結社の自由と権利を提唱する労働者の力を強化し、サプライチェーンにおける労働者の権利侵害に対する企業の責任を追及するために、国際的に活動するNGOである。

シーフード・ワーキング・グループ(SWG
国際的な水産物貿易における労働搾取、違法漁業、乱獲などの問題を終わらせるために、政府の実質的政策と産業による実践を立案、提唱するために協力する人権、労働、環境団体のグローバルな連合体である。


【本件に関する日本語での問い合わせ】
特定非営利活動法人アジア太平洋資料センター(PARC)/担当:松元
office@parc-jp.org/03-5209-3455

 

 

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