2022年10月17日にオンライン開催した『静かな汚染、ネオニコチノイド―浸透性農薬は〈いのち〉に何をもたらすのか?』完成記念上映会のトーク部分の録画記録を公開しています。(冒頭、スピーカーの自己紹介などが一部録画から切れております。ご了承の上、ご覧ください。)
共催団体アクト・ビヨンド・トラスト(abt)のウェブサイトにて、発言内容を補って再構成されたイベント・レポートをお読みいただけます。また、同年7月にabt・PARCが共催した「【Future Dialogue】じっくり知りたい、ネオニコ系農薬問題の重要論点と日本の農薬規制のあり方」のレポート もあわせてご覧ください。
植物の根や葉から組織全体へと浸透移行して作物を害虫から長く守るとされる浸透性農薬《ネオニコチノイド》。1990年代以降、主流の殺虫剤として、日本国内でもさまざまな作物の栽培に用いられています。
しかし、その普及から約30年、当初想定されていなかった多くの問題が指摘されています。
水に溶けやすい性質を持つネオニコチノイドは、ひとたび使用されると、容易に河川や地下水に移行します。そして、農業その他の用途で使用が広がった結果、日本でも「もはや検出されない河川を見つけることが難しい」と言われるほどに水系汚染が進み、生態系の崩壊を加速させているのです。
さらに、近年の研究で懸念されているのが、その人体への安全性です。昆虫の神経に対して強く結合する「選択毒性」を持つことから、「ヒトには比較的安全」と言われてきましたが、ヒトを含む哺乳類の神経伝達や成長途上の神経の発達にも影響を及ぼすことが解明され始めているのです。
静かに目に見えないかたちで生態系にも人体にも忍び寄る浸透性農薬。その脅威から未来を守るために、私たちに何が問われているのか。
浸透性農薬ネオニコチノイドのはらむ問題について生態系への影響と人体への安全性の両面から迫った、PARC制作の新作映像作品『静かな汚染、ネオニコチノイド―浸透性農薬は〈いのち〉に何をもたらすのか?』を上映。
上映後には、ネオニコチノイド問題に日本で早くから取り組まれ、本作にも企画段階から関わられている星川淳さんに、地球環境をめぐるさまざまな危機の中でこの問題をどのようにとらえるべきか、また、私たちがいまどのような選択と向き合っているのかをお話しいただきます。
開催概要
■日時:2022年10月17日(月)19:00~20:40
■開催形態:ZOOMによるオンライン方式
■参加費:無料
プログラム
・開会あいさつ
・『静かな汚染、ネオニコチノイド』上映(40分)
・上映後トーク「ネオニコ問題の底を探る」(30分)
星川 淳(abt代表理事)/聞き手:八木亜紀子(PARC理事/DEAR職員)
・質疑応答(15分)
・閉会あいさつ
スピーカー
星川 淳(作家・翻訳家、一般社団法人アクト・ビヨンド・トラスト 代表理事)
1982年より屋久島に在住し“半農半著”生活のかたわら、国内外のさまざまな市民運動・環境保護運動に携わる。国際環境NGOグリーンピース・ジャパン事務局長を経て、2010年末より現職。
八木亜紀子(PARC理事、NPO法人開発教育協会〈DEAR〉職員)
国際協力NGOや中間支援組織を経て、2007年よりDEAR職員。 広報や教材作成、ワークショップのファシリテーターなどを務めている。 2017年度よりPARC理事。