気候危機対策としてニッケルやリチウムなどのレアメタル、また銅などの需要が高まっています。電気自動車や再生可能エネルギーの部品、バッテリー材料などの需要が伸びているためです。これまでも、海外の鉱山開発の現場では生活環境の破壊や抗議の声をあげる住民への弾圧など人権侵害が報告されてきました。様々な鉱物の需要が高まる中、鉱山の拡張や新規開発が相次ぎ、さらなる悪影響が懸念されています。影響を受けているのは、気候危機の影響を真っ先に受けてきたグローバルサウスの人びとです。本連続セミナーでは、脱炭素や公正なエネルギー移行の名の下で進む様々な鉱物の開発に抗う現場の人びとの声を聞きながら、私たちの生活と鉱物資源の問題について考えます。ぜひご参加ください。
第2回:バッテリー材料生産現場で脅かされる暮らし~フィリピンからの訴え
「鉱山の拡張が進んだら私たちの山がなくなってしまいます」
「病気になったときに使う薬草はあの山で採ってくるのです」
――いま、フィリピンのリオツバ・ニッケル鉱山周辺の住民から懸念の声が上がっています。
リオツバ鉱山では、既存のニッケル採掘地域に隣接するブランジャオ山に採掘を拡張する計画が進んでいます。ブランジャオ山はそこで暮らす先住民族の生活を支え、貴重な水源地として周辺の農家にも恵みをもたらしてきました。「フィリピン最後のフロンティア」とも呼ばれるパラワン島の生態系豊かな森林が失われることに対し、環境団体も警告を発しています。
気候危機対策として、電気自動車(EV)の需要の高まりと同時にリチウムイオン電池の大幅な需要の高まりが予想されるなか、その電池に欠かせない原料であるニッケル。日本にとって、その主要な輸入元の一つはフィリピンです。住友金属鉱山や大平洋金属、双日などの日本企業が出資し、リオツバ鉱山などで採掘や製錬事業を行なってきました。国際協力銀行(JBIC。日本政府100%株式保有)や日本貿易保険(日本政府100%出資)といった公的機関の後押しもなされています。
今回のセミナーでは、現地NGOスタッフにパラワン島でのニッケル採掘による環境・社会・人権問題の実態を報告していただき、リオツバ鉱山周辺住民のお話をうかがいます。ぜひご参加ください。
●日時
日時:9月15日(日)14:00~16:00
●会場
オンライン開催(ウェビナー)Zoom
※参加費無料、ご寄付歓迎
●申込
https://pro.form-mailer.jp/fms/dfd2c310102067
●プログラム(予定)
・開催趣旨:田中 滋<アジア太平洋資料センター(PARC)
・パラワン島のニッケル鉱山開発の概要と問題点(逐字訳あり):環境法律支援センター(ELAC)スタッフ(調整中)
資料:20240915_ELAC.pdf、20240915_mayo-anda.pdf
・リオツバ鉱山周辺住民の声ー拡張でさらに脅かされる生活(逐字訳あり)・・・リオツバ鉱山周辺の住民(調整中)
・15年以上の現地調査を経て・・・波多江 秀枝<国際環境NGO FoE Japan
資料:20240915_FoE.pdf
・質疑応答
●共催
国際環境NGO FoE Japan、アジア太平洋資料センター(PARC)
●問合せ
特定非営利活動法人 アジア太平洋資料センター(PARC)<担当:田中>
office@parc-jp.org/03-5209-3455