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アジア太平洋資料センター(PARC)は、ロシア先住民族国際委員会(ICIFR)からの要請を受け「ロシア当局が55団体を「過激派組織」に加えたことに対する、ロシア先住民族国際委員会(ICIPR)による声明」に賛同しました。

20246月、ロシアでは現地最高裁の判決により「反ロシア分離主義運動」を「テロ組織」リストに加えることが決められました。先住民族運動のリーダーらによって結成された組織であるICIPR(ロシア先住民族国際委員会)もそのリストの対象にされてしまっています。

ロシア政府はこれまでも先住民族運動を「分離主義運動」と弾圧することがありました。「テロ組織」リストに加えられるということは、メンバーや支援者、ウェブサイトへのリンクを転送したユーザーなどあらゆる人が当局による監視・捜査・取り締まりの対象とされることを意味しています。

PARCは今回の決定に抗議するとともに、事態の推移を注視していきます。

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以下日本語訳 (アジア太平洋資料センター 訳)

ロシア当局が55団体を「過激派組織」に加えたことに対する、ロシア先住民族国際委員会(ICIPR)による声明

ロシア先住民族国際委員会(ICIPR)は、ロシア連邦法務省による「過激派」リストに、55の先住民族組織、少数民族、脱植民地、その他の団体が含まれていることに、強い懸念と憤りを表明する。

北方ロシア、シベリア、極東の少数先住民族の独立専門家、活動家、指導者、公的組織からなる任意の集まりである「アボリゲン・フォルム」もリストに掲載された。

ロシア連邦法務省のウェブサイトでの発表によれば、このリストにはロシア先住民国際委員会(ICIPR)も含まれている。

先だって、2024年6月7日、ロシア連邦法務省の要請を受けたロシア最高裁判所が、いわゆる「反ロシア分離主義運動」を過激派組織と認定したことに、私たちは懸念を表明した。具体的にこのような名称の組織は存在せず、広範な解釈ができる表現であるため、私たちは、これによってロシア当局を批判するあらゆる組織がこの決定に含まれる可能性があると懸念していた。

今、この決定がどのように実施されているかが明らかになった。先住民族の権利を擁護する団体が「過激派」団体のリストに含まれているのだ。

人権プロジェクト「政治犯を支援する:メモリアル」に協力する弁護士アンドレイ・フェドルコフは、『Idel.Real』に次のようにコメントしている:「現在、自地域の自由と独立を擁護する団体が使用するような自地域の象徴を掲げる人はすべて危険にさらされています。これには、関連資料を配布したり、この内容に関連するリンクを提供したりする人も含まれます。この法律の適用がいかに不合理であるかがわかるでしょう。私の予想では、これらの記事に基づいて相当数の刑事事件が起こると思っています」。

私たちICIPRはまた、これは国連のような国際的なプラットフォームに先住民族運動が参加することに対するロシア政府の反応であると見ている。

ちょうど2週間前(2024年7月8日〜12日)、ジュネーブで先住民族の権利に関する国連専門家メカニズム(EMRIP)の会期が終了し、私たちのメンバーは、ロシアにおける先住民族に対する人権侵害の問題や、国連機関に対するロシアの影響力について提起した。

さらに、ICIPRは国連会議の直前に、ロシア政府によって管理されているロシア連邦北方・シベリア・極東先住民族協会(RAIPON)に関する報告書を発表した。

・2022年のEMRIP会合の直後にも、ロシア当局が私たちのウェブサイトiRussiaを遮断させたことも述べておかなければならない。
・2023年のEMRIP会合の後、ICIPRのメンバーであり先住民族の人権擁護者であるパヴェル・スリヤンジガはロシア当局の管理する外国工作員リストに加えられた。
・そして今、2024年のEMRIP会合後、私たちは「過激派」リストに加えられた。

ロシア当局は心無き弾圧マシーンとなってその勢いを増している。先住民族の権利のために取り組む活動家に対する迫害の手口は激しさを増している。

私たち、ロシア北方、シベリア、極東の少数民族の代表は、自分たちが 「過激派リスト」に掲載されたことを深く憂慮している。私たちは、このような状況における先住民族の権利の保護に関して、最大限の懸念を表明します。
私たちは、ロシアの先住民族の代表として、このリストに掲載された他の団体と連帯します。

私たちは、国連、欧州評議会、北極評議会を含むすべての国際機関、NGO、政府間機関、科学機関、人権機関に対し、55団体を「過激派」リストに含めるというロシア連邦法務省の決定を非難するよう呼びかける。

私たちは、ロシアの先住民族の権利を求める闘いへの支援を要請する。

(以上)


以下、公式英文声明

THE STATEMENT OF THE INTERNATIONAL COMMITTEE OF INDIGENOUS PEOPLES OF RUSSIA (ICIPR) REGARDING THE INCLUSION OF 55 ASSOCIATIONS IN THE LIST OF “EXTREMIST ORGANIZATIONS”

The International Committee of Indigenous Peoples of Russia (ICIPR) expresses extreme concern and indignation over the inclusion of 55 Indigenous Peoples’ organizations, national minorities, decolonial, and other associations in the list of “extremists” by the Ministry of Justice of the Russian Federation.

Aborigen-Forum, an informal association of independent experts, activists, leaders, and public organizations of the small-numbered Indigenous Peoples of the North, Siberia, and the Far East, also appeared in the list.

The list also includes the International Committee of Indigenous Peoples of Russia (ICIPR), according to the publication on the website of the Ministry of Justice of the Russian Federation.

Earlier, we expressed concern when, on June 7, the Supreme Court of Russia, at the request of the Ministry of Justice of the Russian Federation, recognized the so-called “Anti-Russian Separatist Movement” as an extremist organization. We feared that, since such an organization does notify exist and the wording is very broad, any
organization criticizing the Russian authorities could be included under this decision.

Now it is evident how this decision is being implemented. The organizations defending the rights of indigenous peoples are being included into the list of the “extremist” organizations.

Andrey Fedorkov, the lawyer who collaborates with the human rights project ”Support for political prisoners. Memorial” comments for Idel.Realii: “Currently, anyone who displays any symbols of their region, used by any organization advocating for the freedom and independence of their region, is at risk. This includes anyone who
distributes relevant materials or provides links related to this topic. We can see how absurd the application of the law is. My prediction is that a significant number of criminal cases will follow based on these articles”.

Our committee also sees this as a reaction from the Russian government to the participation of indigenous movements in international platforms, such as the UN.

(EOD)

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