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マアバン・ビーチの看板

(写真1)マアバン・ビーチの看板。住民は原発立地予定地を観光地化し、集会・礼拝が可能な場所にすることで原発に抵抗してきた

「Balong Wani!!」(バロン・ワニ ※「バロン村は勇敢に!!」)

インドネシア中部ジャワ州ジュパラ県バロン村――
ここでは村人たちは度重なる村の危機に立ち向かってきました。

写真に示された砂浜は、まさに原発建設が計画されていた場所であり、日本と韓国が入札を競っていた時代がありました。しかし、住民は反対運動を組織化し原発立地計画を差し止めるに至っています。原発立地計画を跳ね飛ばした事例は世界でも限られており、住民たちは歴史的な勝利を勝ち取ったと言っても過言ではありません。

ところが、村から危機は去りません。

現在村の海岸線は海砂採取によって5mも後退しており、今後さらに海岸線は後退することが想定されています。海水はすでに村の水田に塩害をもたらしていて、村人の収入や食糧主権を脅かしているのです。

事態を深刻化させているのは政府方針です。2023年5月、ジョコ・ウィドド政権は第26号規制(PP26)による規制緩和でメガワティ政権時代である2003年に禁止されていた海砂の海外輸出を解禁しました。これによってアジアの建設ラッシュをインドネシアの海砂が支えると謳われていますが、そのためにバロン村をはじめとする多くの村で海岸線が甚大な破壊にさらされることになります。

ですが、問題はそれだけではありません。住民たちは海砂採取とその加速は、バロン村への原発立地をあきらめきれない原子力産業の布石だと話します。海砂採取は原発立地の基礎工事の一環であり、同時に村の漁業を破壊し、塩害で農業を立ち行かなくさせることで村の抵抗勢力を弱体化させるものであると。

そうした主張を裏付けるかのように、一度は撤退していた原子力産業は敷地の再調査を開始しています。

原発と比較して海砂採取は負荷が大きくない問題であるかのようにみられるかもしれませんが、ここでは小さな村の海岸線を守ることは原発建設を止めることと直結します。

村人たちは、海砂採取にも原発建設にも勇気をもって立ち上がり、反対し続ける気持ちをスローガンで表して唱和します。

「Balong Wani!!」(バロン・ワニ)

原発立地が予定された砂浜

(写真2)原発立地が予定された砂浜。波打ち際にはサンゴのかけらが流れ着く

※インドネシア軍・警察からの威圧行動を避けるために住民の姿は撮影していません。

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