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マレーシアにあるプラスチック部品製造会社Kawaguchi Manufacturing SDN BHDにおいて長期にわたる未払い賃金や移住労働者のビザ没収などの強制労働につながるとされる行為が確認されました。同社はソニー、パナソニック、ダイキンなどの日本の大企業のパーツを生産しているだけでなくハイセンス・グループのパーツも製造していたことが確認されています。

このように不法労働行為と日本企業のサプライチェーンがかかわることは重大なビジネスと人権にかかわる国内外のガイドラインに反する行為であるのはもちろんですが、問題はその解決への試みにもあります。

問題が発覚し、調査を行い、問題が存在することを認めるところまで最終製品メーカー各社はそれぞれに取り組みを進めたのですが、ソニー、パナソニックは相次いで事態に何ら解決をもたらすことなくKawaguchi社との取引を停止させ、続いてダイキンも生産を停止させるに至りました。これら日本企業は長年搾取的労働のおかげで安いパーツを入手できてきたにも関わらず、いざ問題が表面化したらそれまでの労働者の未払い賃金の清算に貢献することなく撤退を決めました。

このような無責任撤退行為も国内外の多国籍企業ガイドラインに反する行為です。企業各社は善意に基づいた改善の努力を行うべきであり、取引停止による責任逃れは許されません。

年末を前に、何か月分も給与が支払われないまま労働者らが路頭に迷おうとしています。日本企業各社には今からでも責任ある行動を求めます。

Kawaguchi社で行われてきた不法労働行為と労働者の声、そして現地で起きている問題の経緯を示した移住労働に関する専門家Andy Hall氏によるレポートをこの度アジア太平洋資料センター(PARC)で翻訳し、掲載しました。本文を下記よりダウンロードしてご覧ください。

レポート:「賃金未払い 7ヶ月『自由になるのはいつだろう』」~Kawaguchi Manufacturing SDN BHD における強制労働および搾取の嫌疑に関する報告

PARCでは引き続き現地の状況を注視するとともに日本企業が1日でも早くこれまで取引していた間の労働者への未払い賃金の清算に尽力することを求めて活動を続けます。

また、他にもこのような不法労働行為は残念ながらアジア地域であふれています。引き続き調査・発信・そして労働者の権利を勝ち取る運動を支えるためにPARCの活動も会員・寄付・マンスリーサポーターなどでご支援ください。

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(2024年12月24日更新情報)

・12月20日 ダイキンは労働者らに当面の食糧支援12000米ドルと健康診断および労働者の間で急増していたデング熱の治療費を提供することを決定しました。ダイキンの支払いの下で派遣された医師の診断を約150名の労働者が受診し、数名がデング熱の治療のために入院したとのことです。
また、マレーシアの労働当局によって労働者らの別工場への斡旋手続きが進み、1月初旬には再就職を望む労働者らは全員仕事を得られる見込みであることが現地から報告されました。

・12月24日 これまでのマレーシア労働当局介入の下で交わされた覚書に基づく未払い賃金の支払い計画には労働者らがマレーシアへ移住するにあたって借り入れた斡旋料の債務返済は含まれません。その返済はこれまでもこれからも労働者らへの負担となり続けることを受けてソニー、パナソニック、ダイキンの3社は業界団体等によって構成されるResponsible Business Alliance(RBA)を通じて斡旋時債務の返済のための基金を設立し、3社の合計として110万米ドルの支払いを行うことを決定しました。これは労働者251名に対してそれぞれ20000リンギットの支給に相当します。労働者らと企業3社との間で12月中に執り行われた対話の場で、労働者らはこれまでの心身への過剰な負担への補償も含めて一人当たり50000リンギットの支払いを要求していたのでその金額には全く足りないものです。しかし、この日本企業3社による支払いは未払い賃金を清算するものではないので、今後の労働者らへの賃金支払いを妨げるものでもありません。前進を認める一方で、労働者らはの要求はいまだ満たされていないですし、速やかに支払いが完了するまでは決して安心できる状態ではありません。

(更新情報以上)

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