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2023年10月14日、PARC自由学校の連続講座「鎌田慧・ルポルタージュの現場から」で狭山事件について学ぶフィールドワークを行いました。

この講座は、ジャーナリストの永田浩三さんが案内人となって、ルポライター・鎌田慧さんのお仕事をご本人とともにたどる全6回のシリーズで、今回のフィールドワーク「狭山事件を現場から考える」はその最終回です。

狭山事件は1963年に埼玉県狭山市で女子高校生が行方不明となった後に殺害された事件で、同年に市内の被差別部落出身の石川一雄さん(当時24歳)が容疑者として起訴されて、無期懲役判決を受けました(1977年に刑が確定)。石川さんは無実を訴え、1994年に仮出獄した後も再審を求める闘いを続けています。

フィールドワークの前半では、再審弁護団事務局の安田聡さんに解説いただきながら、石川さんの「自白」に沿ったコースをあえて歩くことで、有罪判決が「信用できる」とした「自白」の内容がいかに不自然で多くの無理を含むものであるかを、現場で確認していきました。

後半は近くの集会所に会場を移して、石川一雄さん・早智子さんご夫妻にお話をうかがいました。学校教育をほとんど受けていなかった石川さんは、事件当時、文字が書けなかったにもかかわらず、脅迫状を書いたとされて、有罪判決を受けました。石川さんは、獄中で必死になって読み書きを学んだ経緯とその努力を支えてくれた人びとへの感謝の想いを語り、自作の短歌を披露しました。早智子さんは、それまで自身が部落出身であることを隠して生きてきた中で、「差別から逃げるな」という一雄さんのメッセージに出会って自分の心が解放された、と振り返りました。鎌田さんは、見込み捜査から裁判まで、石川さんが有罪にされていった過程には一貫して差別という背景があったことを指摘。「石川さんは部落差別の問題と国家権力とに体全部で闘っている」と応援の言葉を送りました。

石川さんは現在84歳。仮出獄からすでに30年間、再審を求め続けています。安田さんは「弁護団は証拠品について新たな事実を提出している。裁判所はまず何より事実調べを行って欲しい」と訴えました。

(左から)石川早智子さん、鎌田慧さん、石川一雄さん、永田浩三さん

〈参考ウェブサイト〉
狭山事件|部落解放同盟中央本部

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