世界各地の「消滅の危機にある言語」について調査しているユネスコ(国連教育科学文化機関)は、2009年にアイヌ語を「消滅」の一歩手前の「極めて深刻」な危機にある言語と認定しました。そうした中で、アイヌ語を日常生活のなかに取り戻し、地域ごとに多様なアイヌ語とその物語や文化を継承していく取り組みがいま広がっています。
PARC自由学校では、藤田護さん(慶應義塾大学)の企画・コーディネートでアイヌ語の復興と継承をテーマにした連続講座を開催してきました。2024年度も藤田さんに講師&コーディネーターを務めていただき、「それぞれのアイヌ語を受け継ぐ――知里幸恵の先へ」を開催します。
2022年度「知って使おうアイヌ語―世界の言語復興の動きとつながる」では、アイヌ語をマオリ語の言語復興に用いられた「テ・アタランギ」という方式を用いて実践的なかたちで学ぶと共に、アイヌ語の「いま」を取り巻く様々な取り組みが世界の言語復興の動きのなかにどのように位置づけられるかをゲストスピーカーの講義を通じて考えていきました。
2023年度「刊行100年『アイヌ神謡集』を通じてアイヌ語と知里幸恵について学ぶ」では、アイヌ語の継承に重要な役割を果たした知里幸恵の『アイヌ神謡集』を通じて、それぞれの物語に表現されたアイヌ「社会」のあり方や物語が持つ意味について考えました。
第3弾となる今回の講座は、アイヌ語の物語を社会や歴史に開いて、和人(アイヌではない日本人)との交渉、歴史認識、脱植民地化といった観点から読み解きます。さらに、二風谷、十勝、樺太など、それぞれの地域で異なるアイヌ語の伝承に関わる人びとをゲストに迎え、アイヌ語復興の最先端の動きとつながることを試みます。
受講にあたってアイヌ語の予備知識やこれまでの講座の受講経験は必要ありません。入門的な内容から一歩踏み込む、貴重な企画です。
ご参加お待ちしています!
●講師&コーディネーター:藤田 護 (慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス環境情報学部専任講師)
●ゲスト講師:木原仁美/中川 裕/瀧口夕美/北原モコットゥナㇱ/岡本朋也/原田啓介・原田梨乃
●2024年6月~2025年1月 ●金曜日19:00~21:00 ●全11回
●開催形式:対面(PARC自由学校教室)またはオンライン(zoom)の選択制
●受講料:46,000円
「それぞれのアイヌ語を受け継ぐ」講座の詳細はこちら
https://www.parcfs.org/2024-06