2023年12月15日、米州人権裁判所はグアテマラ政府が大規模ニッケル鉱山であるフェニックス鉱山の採掘許可を発行した際に重大な先住民族の権利侵害を行なったとして2009年から出されていた採掘許可を取り消し、即時鉱山操業停止と土地所有権の返還を求める裁定を下しました。
判決文によれば、先住民族であるケクチ族(Q’eqchi’)の人びとが確認されている範囲で少なくとも1800年代から生活していた土地をグアテマラ政府は先住民族の人権を保護する国内法を十分に整備することなく不当に鉱山地として採掘許可を2009年に出したとしています。
現地の抵抗運動を率いていたロドリゴ・トット(Rodrigo Tot)さんは抵抗のさなかに採掘企業の警備員に息子を射殺され、その事件以降も住民に対して繰り返し暴力・脅迫・ハラスメントがあったことが審理の中で明らかにされ、判決文でもその事実への言及がありました。
世界では多くの鉱山がこのような問題行為に及んでいて、本件のように正当な判決が下されることは決して多くありません。しかし、グアテマラ国内法ではなく米州人権裁判所でこのような判決が出たことは、今後米国、カナダを含む35カ国における鉱山活動に影響を持つことになります。
※参考:AP通信による報道(英語):
International court rules against Guatemala in a landmark Indigenous and environmental rights case