インドネシアでは、農地や清潔な水など自分たちの生活をPT Vale Indonesia(PTVI)のニッケル開発拡張計画から守ろうとするコミュニティーの闘いが続いています。一方、採掘鉱区から農地を除外するよう要求している農民に対する深刻な人権侵害も続いています。
PARCは2023年8月18日に、FoE Japan、インドネシア環境フォーラム(WALHI)南スラウェシ等とともに、親会社であるValeの主要株主(Capital Group、Previ、三井物産、BlackRock)及びPTVIの主要株主(住友金属鉱山、ノルウェー政府)に対し、ソロワコ・ニッケル開発の影響を受ける現地コミュニティの人権を保護するため、迅速かつ適切な措置を講じるよう、PTVIへのエンゲージメントを求める要請書(国際・地域レベルで活動する団体を含む、23ヶ国104団体が賛同)を提出しました。
PTVI(旧PT INCO)によるニッケル開発がソロワコで始まって以降、50年以上にわたり、その広大なコンセッション地域(70,566ヘクタール)の開発現場では、先住民族や農家、漁師、女性など現地コミュニティの人びとが、さまざまな問題に直面してきました。近年、脱炭素社会の実現に向けた取組みの一環でバッテリー材料の需要が高まる中、ソロワコでも、新規の製錬所の建設計画から鉱山の探査・拡張まで、その開発圧力はむしろ強まっており、現地コミュニティの抱える懸念・問題も絶えることがありません。
PTVIが現地コミュニティの生活と水源に深刻な影響を及ぼしてきたため、住民はPTVIに対して声を上げてきました。しかし、同社は今日に至るまで、これらの問題に対処するための適切かつ迅速な措置を講じていません。また、警察や軍を含むインドネシア当局が、抑圧的な手段でコミュニティの抗議を止めさせようとしていることも大きな懸念材料であり、深刻な人権侵害です。
ソロワコ・ニッケル開発の影響を受ける現地コミュニティが、農業を続けることができ、健康な生活を送ることができ、反対や懸念を自由に表明することができること――それはすべて基本的人権です。ValeとPTVIの主要株主は、自らが人権侵害に加担しないよう、「国連ビジネスと人権指導原則」に基づく責任ある対応を求められています。
FoE Japanのウェブサイトより要請書の和訳(原文は英語)をご覧ください。